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コラム 海外拠点や工場に重視されるOTセキュリティとは?リスクと具体的な対策を紹介(3/3)~OTセキュリティ対策を実施する具体的なポイント~

OTセキュリティの強化には、ガイドラインに基づいた具体的な対策を複数組み合わせて実施することが重要です。


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OT(Operational Technology)セキュリティは、デジタル化が進み、サイバー攻撃リスクが高まっている製造業やインフラ分野において不可欠です。OTセキュリティの実現には、本社と海外拠点の役割分担の明確化や、迅速な連携が重要です。本社は全体的なセキュリティ基準の作成やガバナンスを担い、海外拠点は現地特有のリスクを考慮しながらサプライチェーン全体の連携を強化する必要があります。

本記事では、OTセキュリティにおけるリスクと具体的な対策をガイドラインに基づいて解説し、グローバル規模でのセキュリティ体制の構築方法と具体的なOTセキュリティの要点について、3回に分けて詳しく解説します。

4. OTセキュリティ対策を実施する具体的なポイント

OTセキュリティの強化には、ガイドラインに基づいた具体的な対策を複数組み合わせて実施することが重要です。以下に、取り組むべき主要なポイントを解説します。

OTセキュリティ対策の4つの柱

ネットワークの分離

OTシステムとITシステムを明確に分離して、サイバー攻撃の影響を限定的なものにします。例えば、製造ラインと管理部門のネットワークをファイアウォールやセキュリティゲートウェイを利用して分離し、アクセスを制御すれば、セキュリティレベルを向上させることが可能です。

アクセス権の管理

リモートアクセスができるユーザー数を必要最小限に抑え、許可されたリモートアクセスは、多要素認証(MFA)を導入するなどして、不正アクセスのリスクを軽減します。

脆弱性管理とパッチ適用

レガシーシステムを含むOTシステムでは、定期的な脆弱性スキャンを実施し、パッチ適用が必須と判断された場合に限って実施することが重要です。更新が難しいレガシーシステムの場合、仮想パッチやネットワークセグメントの分離を活用し、脆弱性を補完する代替的な対策の実施が推奨されます。

またサプライチェーンに接続している機器やシステムについても、常に最新の状態にアップデートし、ネットワーク経由でサイバー攻撃が拡大するリスクを防ぐことが求められます。

セキュリティモニタリングとインシデント対応体制

サイバー攻撃の被害を最小限に抑えるためには、ネットワークを監視し、異常な振る舞いを早期に検知する仕組みの整備が重要です。例えば、XDR(Extended Detection and Response)を導入して、リアルタイムでトラフィックを監視し、異常の兆候を検知する仕組みなどが挙げられます。

さらに、全社共通のインシデント対応フローを策定し、本社が統括する形で一貫した対応方針を示します。同時に、各拠点の法規制や業務プロセスに合わせたインシデント対応マニュアルを準備し、迅速に初動対応や復旧作業を行える体制を整備しましょう。

ゼロトラストネットワークの理解

「信頼しない」ことを前提に、ネットワーク内外を問わずすべてのアクセスを検証する「ゼロトラスト」モデルを導入します。ネットワーク内外のユーザーやデバイスに対して常に認証と検証を実施するモデルであり、OT環境下では、重要なシステムの保護に活用します。

ゼロトラスト環境の構築はOTセキュリティを向上させ、内部からの攻撃にも強いセキュリティの構築に寄与します。

参考:ゼロトラストモデルの構成要素とは?
海外拠点で多様化するIT環境に求められる最適なセキュリティ技術を解説
https://biz.kddi.com/content/column/smartwork/zero-trust/
参考:海外拠点におけるIoT向けセキュリティ対策「ゼロトラスト」とは?
https://biz.kddi.com/content/column/smartwork/zero-trust-point/

導入や改善に向けたステップ

OTセキュリティの強化対策は多岐にわたり、全てを一度に実現することは難しいでしょう。まずはリスク分析を行い現状を把握し、拠点や生産設備ごとの状況を確認した上で、重要度の高い箇所やエリアから優先的かつ段階的に対策を講じることが重要です。

ステップ概要図

自社での対応が難しい場合は、外部ベンダーへの依頼も有効な手段といえます。

5. まとめ

OTセキュリティの強化は、企業が競争力を維持し、グローバル市場で信頼を築くための重要な取り組みです。拠点ごとのOT環境に合わせた適切なセキュリティ対策を講じれば、外部の脅威からシステムや生産設備を守ることができます。

さらに、IoTの普及やITとOTの統合が進む現代において、セキュリティリスクへの対応はますます複雑化しています。現状の課題に対応するためには、グローバル基準と拠点ごとのローカル要件を組み合わせ、脆弱性管理やモニタリング、インシデント対応体制を一体的に構築するセキュリティ戦略が不可欠です。変化の激しい現代において、企業はスピード感を持った柔軟な対応をしつつ、システムや設備を守る体制を継続的に見直し、強化していく必要があります。

関連記事:海外拠点で気にするべきセキュリティ脅威と対策は?
https://biz.kddi.com/content/column/smartwork/security-threats/
関連記事:エンドポイントセキュリティとは?ゼロトラストモデルにおける重要性と海外拠点におけるベストプラクティスを解説
https://biz.kddi.com/content/column/smartwork/what-is-endpoint-security/
関連記事:産業・生産用システムにおけるセキュリティ対策